鼻緒の紐はナイロン紐か?麻紐か?
鼻緒の紐とは、草履に使用されている、鼻緒の中に通してある芯縄です(中紐とも呼びます)
鼻緒の芯縄には、4種類の素材が出回っています。
①麻100%の本麻紐、②麻とナイロンの混合紐、③綿100%の紐、④ナイロン紐
下の画像はナイロン紐です ↓
結び目を緩めると簡単に解けます ↓
夏によく見かける桐下駄草履です ↓
草履は裏の作業蓋(➜)があり、見えませんが、下駄は(➜)下のように見えています
ナイロンは、結んでも結んでもシッカリ結べませんので、作業蓋で見えない草履は接着剤で止めている場合も間々あります。しかも、鼻緒の前仕事である一括りが出来ていない手抜きが多く、さらに、残り紐を短くカットしてあるため、紐を結び替え調節する余裕がありません (鼻緒生地は縮緬といえどもナイロンですから、微調整する必要もないでしょうけれども) ↓
鼻緒の横緒だけを外してみます ↓
画像の左が今回外したナイロン紐 ・ 右が本麻です(本草とも言います) ↓
左のナイロン紐は切れにくいというメリット?があり、右の本麻は切れるというデメリットが挙げられます。しかし、歩行中に足をくねった時に、ナイロン紐は切れないがゆえに捻挫をすることになりますが、麻紐は大きな力が加わると切れるという特質のおかげで、捻挫をしないで済みます。原材料を安く抑えるためだけに、ナイロン紐は進出してきていますが、こういった怖い要素がナイロン紐には隠れているのです。
しかし、本麻は伸びないので、いくら履いても挿げた状態のままです。ですから最初の挿げが甘いと結び目が締まってきて全体が緩むということになり、ここでいう本麻のメリットが発揮できないということになります。 表面から見えない所に鼻緒挿げ師の業が問われます。
下はナイロンの芯縄(左)を、本麻に入れ替えたもの(中央)です。これが万が一の時に助けてくれる麻の芯縄です。
違いは一目瞭然です。
ちなみに②麻とナイロンの混合紐では、中国麻を使っていることが多く麻自体の劣化が心配ですし、ナイロンで切れるべき時に切れない怖さがあります。また③綿100%の紐は湿気による劣化が最も早いです。
転ばぬ先の芯縄の交換です
足首から下をスッポリ包んでいる靴と違って、3点で支える草履・下駄は指先を使って歩くため、足の健康には最高ですが万が一のことを考えて、芯縄の素材を見直してみませんか?他店様でお買いになった場合も、本麻に交換も快く承っております。メールにてお問合せ下さいませ。(芯縄部分が分かる画像を添付していただけますと、より良いアドバイスが可能です)
下はお子様の下駄のナイロン芯縄を(左)、麻に付け替えた画像です(中央)